就職活動〜ロンパ君編
就職活動の時は私にしてはやたらとアクティブに毎日活動していたので思い出が多いです。
今回もまた新卒アドバイザー関連です。
新卒アドバイザーの紹介で面接することとなった、IT系企業の社長(以下、ロンパ君)とのお話をさせてください。
当時の私はどうかしてたのかなと思います。デカビタ野郎に懲りず、ベンチャーの中でも面白いところも確かにあるかもしれないとまた勧められるがままにベンチャーの面接に足を運んだわけですから。
これまでの記事から私がベンチャーを否定的に捉えてると感じる方もいるかもしれませんが、仕事や転職活動で関わってきた中で素晴らしいベンチャー企業もたくさん見てきています。
今回紹介するところも含めて、私が就活中に知り合ったベンチャー企業は全体のごくごく一部に過ぎないんだと信じたいばかりであります。
ロンパ君の経営する会社はこれまた都内某所にあります。デカビタ野郎の時と比べるとオフィスも綺麗で、自分のイメージするベンチャー企業のオフィスの雰囲気と同じように感じた記憶があります。
ロンパ君との面接はデカビタ野郎の時の1対1形式ではなく、ロンパ君に対して就活生4人の集団面接形式でした。
集団面接で特にロンパ君が評価した学生が後日用意されている次のステージに進めるといった流れだったかと思います。
1対1でも緊張するのですが、ピュア大学生だった私は初めての集団面接形式にまた緊張していました。(この頃は就活の解禁日前だったため)
学生に遅れて入ってきたロンパ君は普通のスーツとメガネの姿に、銀行員みたいな髪型をしており、デカビタ野郎を見ていた私は反動的に見た目に好印象を抱きました。
ただ、見た目に反して発言内容はデカビタ野郎以上に終わっていました。
面接の冒頭は社長直々の会社紹介でそこまでは普通だったのですが、どの学生だったかが、「どうやったら学生のうちからしっかりと成長できますか」とロンパ君に尋ねたところあたりから風向きがおかしくなっていきました。
まずロンパ君は「普通の人が100だとしたら、僕は1,000とか10,000とかそういうところにいる人間だからそこからして違うかな」と意味不明なことを言い出しました。
要は普通の人が上限100の世界でもがいてる中、ロンパ君は上限突破した世界で生きてるからもはや比較不可能と言いたかったようです。
私はそれを聞いて、質問の答えになってないし、上限100の設定越えたらなんでもありやんと驚きを隠せませんでしたが、ロンパ君の勢いは収まりません。
「君(質問した学生)と僕が今、議論したら間違いなく僕が君を論破できちゃうよね?それは僕の方が人生経験豊富で年も一回りくらい上だからだと君は思うだろうけど、それは違うんだよ」
私含めた学生の顔が完全に「?」となっているのがわかりました。
「僕が君と同じ年だったとしても、僕は君のことを論破できると思うよ。なんでだと思う?それは僕がさっきも言ったように上限100より上で生きてるからなんだよ。上限100で考えてる君たちには負けるはずがないんだよね。もうこれは仕方のないことなんだよ」
どんだけ論破にこだわるんだと学生全員が思っていたかはわかりませんが、当たり障りのない質問をした学生は完全にこのロンパ君独特の地雷を踏んでしまったようで、ロンパ君の話を死んだ魚のような目をしながらコクコクと頷きながら聞いていました。
その後もデカビタ野郎と同じく世の中にインパクトを与えたいから仕事をしてるといった話を熱弁したり、日本にはジョブズみたいな人間がいないといったこの手のベンチャー社長にありがちな持論っぽく聞こえる一般論を散々披露したあげく、「すまんそろそろ銀行の人間が来るからもうこのあたりでいいかな。これから銀行の奴らを怒鳴りつけてやろうと思うんだよ、あいつら使えないからさ」と誇らしげな顔で言い放つと部屋を出ていきました。
もう呆れを通り越して唖然とした私は、採用アドバイザーに連絡はせずもう全ての連絡を無視することを決意。帰りに近くの有名なラーメン屋に寄って帰宅の途に着くと共に、大手に入社して着実にキャリアを積んでいこうと決心したのでした。
就職活動〜デカビタ野郎編
特に反響も何もありませんが、粛々と就活中の思い出話を続けます。就活生の一時の癒しになれば嬉しいです。
これまでお話した新卒採用アドバイザーBHの勧めで面接をした、とあるベンチャー企業の若手社長(以下、DB)についてお話しさせてください。
東京都内某所にDBが社長を務める企業の事務所がありました。今もまだあるかは知りませんが、個人的な気持ちとして消えてなくなっていてほしいことは否定しません。
この会社はネット広告の代理店のようなものを本業にしているとイメージしてください。
受付で名前を告げ、少し小さめな会議室のようなところに通され、社長DBを待つことになりました。いきなり社長と会う面接自体が初めてだったのでピュア大学生だった私は素直に緊張していました。
5分ほど座って待機していると、勢いよく会議室のドアが開き中肉中背の男が「うっす」と野球部みたいな挨拶をしながら入ってきました。
つばの狭いキャップにセルフレームのメガネ、アゴヒゲをオシャレとして許される程度に蓄え、手にはデカビタを持った男が私の目の前の席に座りました。
私が感じた第一印象は最悪でした。ラフな格好が嫌いとかでなく、単純に初対面の挨拶がちゃんとできない人間が嫌いなのです。挨拶ができないことに加えて、見た目もラフというよりはただの私服だったことが余計に私を腹立たせましたが、そこはまあベンチャーってこんなもんなのだろうと気持ちを鎮めました。
面接のようなものが始まり、7分ほどで一通り私の自己PRを終えると、DBはPCを閉じて「BHの紹介だっけ?」と聞いてきました。
その問いかけには、(BHはなんだってこんなやつを送り込んできたんだ)と言わんばかりの雰囲気が滲み出ていました。そりゃそうです、私はベンチャーを志望などしてないんですから、こうなるのは当然の成り行きです。
そこからは私の採用に関してはもう興味を失ったのか、俺も数年前までBHと同じ職場で同じ仕事してたから君の就活相談に乗ってやるよとDBが切り出してきました。
勝手に兄貴的な雰囲気を出して、場を和ませようとしたのか老け気味な私の容姿を弄ったりしつつ、当たり障りのない就活相談のようなものが行われましたが、初対面の人間に自分の容姿をイジられることも堪らなく不快な私にとってはDBの印象を最悪の第一印象から更に深く掘り下げて悪化させていくだけの時間にしかなりませんでした。
DBもBHと同じく成長性が大事と主張し、二項対立的に大企業はしょうもないと熱弁していましたが、私の耳にはあまり届きませんでした。
君の学歴ならメガバンクはどこかしら絶対に引っかかるから安心していいと思うよと言ったことくらいしかDBの発言で参考になった言葉はありませんでした。
社長という立場柄、変わり者もいれば、その中でも才覚のある人がいるのも間違いはないでしょう。ただしそれがDBではないことは確かだと思います。
DBは自分が仕事をする理由を「世の中に爪痕を残したいから」と話していました。新築の壁に傷を付けたがる猫みたいな発想はあまりいただけないなと思いながら私は耳を傾けていました。人が求めるものに応じた結果として自分の痕跡が残るわけであって、爪痕を残すことが目的になっては恐らく何も達成できないと思います。
DBによってしっかりと心に傷跡を付けられた私は怒りに震えていましたが、最寄りの駅が近づくにしたがってどうでもよくなり、BHへクレームの電話を入れることもなく、その界隈で有名なラーメン屋に立ち寄ってから帰途に着きました。
就職活動〜新卒採用アドバイザー編②
前回からの続きです。
私が新卒アドバイザーとの初面談で感じた2つ目の違和感はやたらと成長を押し付けてくること。
面談の冒頭、どんなキャリアがいいかと聞かれた時に私は「公務員のような安定は望んでいないが、福利厚生がしっかりとしていて、当事者意識を持ち続けて仕事がしたい」と伝えました。
最初こそ私の話に耳を傾ける素振りを見せていましたが、何かと「君は若くして責任のある仕事をしてどんどん成長していったほうがいいと思う」や「大企業に行っても最初の一年間はビジネスマナーの研修とかそんなんばかり。馬鹿らしいと思わない?」、「若くして成長していけば、その先はどんなキャリアでも作れる」とまるで私に雨後のタケノコにでもなれと言わんばかりに成長を押し付けてきたのです。
たしかにアドバイザーの話は正しいのかもしれないですし、そういう考えに共感を持つ人もいるのでしょうが、私の考えは違いました。
7年だか10年だかを土の中でひっそりと過ごし、一瞬花開くセミみたいなキャリアで構わないと思っていたわけです。
何よりも大企業はクソ、ベンチャーは成長できるという短絡的な二項対立論を投げかけてくることにイライラしていました。
今思えば1つ目の違和感に繋がる話でもあるのですが、必死こいてベンチャーに興味を持たせて学生をそこに放り込みたかったんだろうなと思います。
これは完全な推測ですが、自分たちが媒介となって就職を斡旋した分だけクライアントから報酬が出るのかもしれませんね。
とにもかくにもタケノコを目指してはいなかった私にとってこの成長の押し売りが違和感でしかありませんでした。
最後に新卒アドバイザーに感じた3つ目の違和感は、あまりに就活時のキャリアが華々しすぎることです。
面談冒頭の自己紹介的なパートで、BHは自分自身の就活の時に大手商社、大手外資系コンサルタント、メガバンク等、五社の内定を取ったが今の会社を選んだと豪語していました。
大手を蹴って、今の会社を選んだ理由も早く成長したいと思っていたからと話していた点はお約束のギャグのようなものですね。
もしかしたら本当にBHは日本の最大手企業たちから内定をもらっているのかもしれませんが、私の印象では嘘に思えてなりませんでした。
学生を信用させるための詭弁だったと思っています。右も左も分からない小学生くらいの子供が友達の親が社長と聞いて無条件にすごいと思ってしまうのと感覚は同じです。それくらい就活中は物事が見えなくなるものだと思います。
そもそもベンチャーへ行って成長したかったならなぜ何個も大企業の内定を取る必要があったのか不思議でなりません。自慢のためでしょうか?
まあ今となれば冷静に色々と違和感を分析できますが、社会の何たるかもわからない当時の私には違和感以上の感覚を得ることはできませんでした。
その後、アドバイザーの勧めに応じて3社ほどベンチャーの面接へ足を運びましたが、その時の体験が決定打となりこのアドバイザーとは縁を切ることにしました。
その体験はまた後ほど時間あれば書いてみます。
海外のことはよく知りませんが、日本の今の就職活動は学生に夢を与えるだけ与えて、現実を見せない変な仕組みだなと思います。
企業に就職してサラリーマンになるのであれば優先されるべきは自分の夢以上に会社の利益です。
もちろん夢があればその実現に向けて頑張れるということは否定しませんが、今の新卒マーケットで跳梁跋扈する怪しい人たちは、どうも夢だけを見せて夢に至るまでの苦難を包み隠している気がしてなりません。
就活生の皆さん、不安は多いでしょうが地に足をつけて現実をしっかりと踏まえた面接をすれば必ず内定はどこかしらからもらえるでしょう。
スケールの大きさ以上にサラリーマンとしては堅実さが大事だと思います。
一旦終わります。
就職活動〜新卒採用アドバイザー編①
就活生の皆さん。
就活どうでしょうか?もう内定を取って悠々自適に最後まで自分の希望する会社へトライする人もいれば、まだ内定を取れずに焦り回ってどこか1つでもいいから内定を欲しいともがいている人もいるでしょう。
今回は就活について、私が遭遇した新卒採用アドバイザー(以下、BH)の話をしたいと思います。
私がこのBHと初めて会ったのは友人の紹介がきっかけだったと記憶しています。
友人と言っても、就活中に知り合った同じ大学の所謂意識高い系の人間で、企業に就職することと自分の人生の目的達成を混同してる痛い人間でした。
この友人の話はさておき、そんな胡散臭い人間の紹介とはいえ、当時どうやって就活をやっていけばいいのかイマイチ釈然としなかった私はこの誘いに乗ることにしました。
BHとの初対面は、フリーディスカッション形式で私のキャリアビジョンを共有し、今後の就職活動の支援をしていくというものでした。
内容自体はさほど変わったものではありませんでしたが、私はこの時に3つの違和感を感じます。この違和感が後々に自分自身の就活の方向性を大きく変えていくことになるのですが。
まず1つ目に感じた違和感は、やたらと無料で学生を支援してる点を強調してきたこと。
そりゃお金に余裕のない学生からしたら相談してお金を取られたんじゃ洒落にならないですから、アドバイザーとしてそこの部分を重点的に主張するのはわかります。
でもお金を稼がずに企業活動は成り立たないわけで、じゃあどこからお金を取っているかというとクライアント企業から取ってるわけですね。
このクライアント企業には中小から大手まで多くの企業が名を連ねています。正直、自社の数年先を左右する新卒人材の獲得を外注してる時点で大丈夫ですか?と思いますが、大企業人気で人手を確保しづらい中小やベンチャーにはそれなりのニーズがそこに存在するわけです。
つまり新卒採用アドバイザーは学生に対して無料でサポートするよとさも慈善事業かのように主張してきますが、その実は中小やベンチャーへ身売りできる人間を探しているというのが実際のところなのです。
言葉を恐れずに言うなら人身売買と変わらないと私は感じています。転職市場と違ってまだ右も左もわからない学生がターゲットな分、余計にタチが悪い話です。
当たり前と言えば当たり前の話なのですが、学生にはなかなかこの仕組みは見えてこないことも多いでしょう。ましてや先行き不安で1人でも多くの支援者がいてくれたら心強い環境ではなおさらです。
私は就活の中盤でこのジレンマに気づき、他の要因も重なってBHへの信頼を失っていきます。
違和感の2つ目以降はまた後ほど。