バベルの塔の63Fに住まうカエルもどき

世の中を俯瞰した気になっているカエルもどきの愚痴場

就職活動〜デカビタ野郎編

特に反響も何もありませんが、粛々と就活中の思い出話を続けます。就活生の一時の癒しになれば嬉しいです。

これまでお話した新卒採用アドバイザーBHの勧めで面接をした、とあるベンチャー企業の若手社長(以下、DB)についてお話しさせてください。

 

東京都内某所にDBが社長を務める企業の事務所がありました。今もまだあるかは知りませんが、個人的な気持ちとして消えてなくなっていてほしいことは否定しません。

この会社はネット広告の代理店のようなものを本業にしているとイメージしてください。

 

受付で名前を告げ、少し小さめな会議室のようなところに通され、社長DBを待つことになりました。いきなり社長と会う面接自体が初めてだったのでピュア大学生だった私は素直に緊張していました。

5分ほど座って待機していると、勢いよく会議室のドアが開き中肉中背の男が「うっす」と野球部みたいな挨拶をしながら入ってきました。

つばの狭いキャップにセルフレームのメガネ、アゴヒゲをオシャレとして許される程度に蓄え、手にはデカビタを持った男が私の目の前の席に座りました。

私が感じた第一印象は最悪でした。ラフな格好が嫌いとかでなく、単純に初対面の挨拶がちゃんとできない人間が嫌いなのです。挨拶ができないことに加えて、見た目もラフというよりはただの私服だったことが余計に私を腹立たせましたが、そこはまあベンチャーってこんなもんなのだろうと気持ちを鎮めました。

 

面接のようなものが始まり、7分ほどで一通り私の自己PRを終えると、DBはPCを閉じて「BHの紹介だっけ?」と聞いてきました。

その問いかけには、(BHはなんだってこんなやつを送り込んできたんだ)と言わんばかりの雰囲気が滲み出ていました。そりゃそうです、私はベンチャーを志望などしてないんですから、こうなるのは当然の成り行きです。

そこからは私の採用に関してはもう興味を失ったのか、俺も数年前までBHと同じ職場で同じ仕事してたから君の就活相談に乗ってやるよとDBが切り出してきました。

勝手に兄貴的な雰囲気を出して、場を和ませようとしたのか老け気味な私の容姿を弄ったりしつつ、当たり障りのない就活相談のようなものが行われましたが、初対面の人間に自分の容姿をイジられることも堪らなく不快な私にとってはDBの印象を最悪の第一印象から更に深く掘り下げて悪化させていくだけの時間にしかなりませんでした。

 

DBもBHと同じく成長性が大事と主張し、二項対立的に大企業はしょうもないと熱弁していましたが、私の耳にはあまり届きませんでした。

君の学歴ならメガバンクはどこかしら絶対に引っかかるから安心していいと思うよと言ったことくらいしかDBの発言で参考になった言葉はありませんでした。

社長という立場柄、変わり者もいれば、その中でも才覚のある人がいるのも間違いはないでしょう。ただしそれがDBではないことは確かだと思います。

DBは自分が仕事をする理由を「世の中に爪痕を残したいから」と話していました。新築の壁に傷を付けたがる猫みたいな発想はあまりいただけないなと思いながら私は耳を傾けていました。人が求めるものに応じた結果として自分の痕跡が残るわけであって、爪痕を残すことが目的になっては恐らく何も達成できないと思います。

 

DBによってしっかりと心に傷跡を付けられた私は怒りに震えていましたが、最寄りの駅が近づくにしたがってどうでもよくなり、BHへクレームの電話を入れることもなく、その界隈で有名なラーメン屋に立ち寄ってから帰途に着きました。